自動詞と他動詞で日本人がやりがちな間違いと直し方
「〜について話し合う」だから discuss about、「〜と結婚する」だから marry with。こう考えてしまうのは自然なことですが、英語ではどちらも前置詞なしが正解です。逆に「〜に到着する」だから arrive Tokyo のように前置詞を省いてしまうと、こちらは誤りになります。
この食い違いが起きる理由は単純で、日本語の「〜に」「〜と」「〜について」といった助詞の有無と、英語の動詞が前置詞を必要とするかどうかは、まったく別のルールで決まっているからです。日本語の感覚をそのまま当てはめると、必ずどこかで食い違いが起きます。
この記事では、前置詞を余計に付けてしまうパターンと、逆に省いてしまうパターンを合わせて15例、誤った英文となぜ不自然かという理由、そして自然な英文の順に解説します。
前置詞を付けすぎてしまう動詞
日本語で「〜について」「〜と」「〜に」が付く表現は、英語でも前置詞が必要だと思い込みやすいグループです。しかし以下の動詞は、目的語を直接取る他動詞なので前置詞は不要です。
1. discuss
誤:We discussed about the plan.
(私たちはその計画について話し合った)
正:We discussed the plan.
discuss はそれ自体に「〜について話し合う」という意味が含まれています。about を付けると「話し合う」という動作がさらに「〜について」という方向を指し示すことになり、二重になってしまいます。
2. marry
誤:She married with a doctor.
(彼女は医者と結婚した)
正:She married a doctor.
「医者と」という日本語の「と」に引っ張られて with を入れたくなりますが、marry は目的語を直接取ります。「結婚している状態」を表すときは be married to という形になり、この to との混同も起きやすいので注意してください。
3. enter
誤:He entered into the room.
(彼は部屋に入った)
正:He entered the room.
enter into は「交渉に入る」「契約を結ぶ」のような抽象的な場面で使われる表現で、物理的に部屋や建物に入る場合には into を付けません。
4. reach
誤:We reached to the station at noon.
(私たちは正午に駅に着いた)
正:We reached the station at noon.
「〜に着く」という日本語の「に」につられがちですが、reach は到達点を目的語として直接取ります。
5. approach
誤:The typhoon is approaching to Japan.
(台風が日本に接近している)
正:The typhoon is approaching Japan.
reach と同じ構造です。「近づく」対象をそのまま目的語に置きます。
6. resemble
誤:She resembles to her mother.
(彼女は母親に似ている)
正:She resembles her mother.
resemble は状態を表す動詞で、likeのような前置詞は不要です。
7. attend
誤:I attended to the meeting.
(私は会議に出席した)
正:I attended the meeting.
attend to は「〜に注意を払う」「〜の世話をする」という別の意味になります。attend to a patient(患者の世話をする)のように使われるため、会議に出席する意味で to を入れると意味が変わってしまいます。
8. answer
誤:Please answer to my question.
(私の質問に答えてください)
正:Please answer my question.
名詞の answer には to が付くことがありますが(an answer to the question)、動詞の answer はそのまま目的語を取ります。
9. obey
誤:Students must obey to the rules.
(生徒は規則に従わなければならない)
正:Students must obey the rules.
「規則に従う」という日本語の発想から to を入れがちですが、obey も直接目的語を取る他動詞です。
前置詞を忘れてしまう動詞
逆に、日本語では「を」で表せそうに見えるのに、英語では前置詞が必須という動詞もあります。こちらは目的語を直接取らない自動詞で、前置詞なしで名詞を続けると文法的に誤りになります。
10. agree
誤:I agree you.
(私はあなたに同意する)
正:I agree with you.
日本語の「あなたに同意する」からすると目的語がそのまま来そうですが、agree は人を対象にする場合 with が必要です。意見の内容に同意する場合は agree to the proposal(提案に同意する)のように to を使うこともあり、対象によって前置詞が変わる点にも注意してください。
11. apologize
誤:I apologize you for the mistake.
(その間違いについてあなたに謝ります)
正:I apologize to you for the mistake.
謝る相手には to、謝る内容には for を使います。日本語の「あなたに謝る」の「に」につられて apologize の直後に you を置かないよう気をつけましょう。
12. arrive
誤:We arrived Tokyo at seven.
(私たちは7時に東京に着いた)
正:We arrived in Tokyo at seven. / We arrived at the station at seven.
arrive は目的語を直接取らない自動詞です。都市や国など広い場所には in、駅や建物など特定の地点には at を使い分けます。先ほどの reach(目的語を直接取る)と意味が近いだけに混同しやすい組み合わせです。
13. explain
誤:Please explain me the reason.
(その理由を私に説明してください)
正:Please explain the reason to me. / Please explain it to me.
explain は「説明する内容」は目的語に取れますが、「説明する相手」の前には to が必要です。tell とよく似た意味なので tell me the reason のように人を直接目的語に置けると錯覚しやすい動詞です。
14. wait
誤:I’ll wait you at the station.
(駅であなたを待ちます)
正:I’ll wait for you at the station.
「あなたを待つ」の「を」に引っ張られますが、wait は for が必須です。
15. graduate
誤:He graduated the university last year.
(彼は去年大学を卒業した)
正:He graduated from the university last year.
「大学を卒業する」の「を」につられやすい一例ですが、graduate は from を伴う自動詞です。
なぜこの間違いがなくならないのか
ここまでの例を見ると、日本語の助詞と英語の前置詞の有無には規則的な対応がないことが分かります。「〜について」が付く discuss は前置詞なし、「〜に」が付く agree は前置詞ありというように、個々の動詞ごとに覚えるしかありません。
ただし整理の仕方はあります。discuss、marry、enter、reach、approach、resemble、attend、answer、obey のグループは、日本語では間接的な対象に見えても英語では直接の目的語として扱われる動詞です。一方、agree、apologize、arrive、explain、wait、graduate のグループは、日本語では目的語のように見えても英語では前置詞を挟んで対象を示す動詞です。
新しい動詞を覚えるときは、日本語訳だけで前置詞の有無を判断せず、例文ごと覚えることが遠回りに見えて確実です。辞書で動詞を調べる際に、例文に前置詞が付いているかどうかを必ず確認する習慣をつけると、この種の間違いは徐々に減っていきます。
練習問題
次の文を正しい形に直してください。
- I discussed about the problem with my boss.
- She married with a man from Canada.
- He resembles to his father very much.
- I agree you on that point.
- We arrived Osaka before noon.
- He graduated the high school in 2020.
解答
- I discussed the problem with my boss.(私は上司とその問題について話し合った)
- She married a man from Canada.(彼女はカナダ出身の男性と結婚した)
- He resembles his father very much.(彼は父親にとてもよく似ている)
- I agree with you on that point.(その点については私もあなたに同意します)
- We arrived in Osaka before noon.(私たちは正午前に大阪に着いた)
- He graduated from the high school in 2020.(彼は2020年にその高校を卒業した)
前置詞の有無は細かい点に見えますが、ネイティブスピーカーが読んだときの不自然さに直結する部分でもあります。今回取り上げた15の動詞だけでも意識して使い分けられるようになると、文全体の自然さが大きく変わってきます。